『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』(フランス語: Le Charme discret de la bourgeoisie)は、1972年製作・公開のフランスの映画である。監督はルイス・ブニュエル、本作は同年のアカデミー外国語映画賞を受賞した。
テブノ夫妻は友人セネシャルからディナーに招かれ、セネシャル宅に赴く。しかし、ディナーの日付は明日で、何も用意が出来ていないという。
ブルジョワ達を演じるのは、ブニュエルの後期作品の常連フェルナンド・レイ、『去年マリエンバートで』のデルフィーヌ・セイリグ、クロード・シャブロル監督の当時の妻ステファーヌ・オードラン、ジャック・リヴェット監督のミューズ的存在だったビュル・オジェなど、ヌーヴェルヴァーグに馴染みの深い個性的な俳優たちである。
自宅の夕食会に友人たちを招いておきながら、すっかり約束を忘れていて、いざ客たちが集まっても何の用意もできていなかった、という冒頭の挿話は、製作者のセルジュ・シルベルマンが実際に経験した失敗談から。絶えず邪魔が入って食事ができないというアイデアは、19世紀スペインの劇作家ホセ・ソリーリャの戯曲『ドン・ファン・テノーリオ』からも来ている。劇中の、会食の最中に劇場の幕が上がる夢のエピソードにおいて、劇中劇のセリフはこの戯曲から採られている。
本作がアカデミー外国語映画賞にノミネートされた際、「オスカーがとれると思うか?」という記者たちの質問に対して、ブニュエル監督は冗談のつもりで「うん大丈夫。向こう様が言ってきた約束の金はちゃんと払ったからね」と答えた。この発言が波紋を呼び、一大疑惑事件にまで発展した。騒ぎは無事収まったが、受賞後、ブニュエル監督は「アメリカ人はちゃんと約束を守る人たちだよ」と答えた。
劇中でのデルフィーヌ・セイリグの衣裳はジャン・パトゥが担当した。
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